ロンドン交通局(TfL)は、ロンドン中心部を東西に貫通する新しい鉄道路線「エリザベス線」を2022年5月24日(火)に開業します。
第二次世界大戦後、チューブと呼ばれる小さいトンネルの地下鉄ではなく、大型のトンネルでロンドンを東西に結ぶ鉄道建設についての提案が多くの有識者から出されました。調査や議論に年月を要しましたが、TfLはイギリス運輸省と共同で子会社「クロスレール社」を2001年に設立し、2005年に「クロスレール法案」がイギリス議会に承認されました。エリザベス女王が2016年に建設中の駅を訪れたのを機に、路線名のエリザベス線とシンボルカラーの紫色が制定されました。
今回の開業区間は、ロンドンの幹線ターミナルであるパディントン駅と南東部アビー・ウッド駅を結ぶ区間です。大部分が地下トンネルを通り、9つの新駅が開業します(2022年中にボンド・ストリート駅が追加で開業予定)。また、現在は「TfLレール」として営業している西のレディング、ヒースロー空港方面、東のシェンフィールド方面への郊外路線も含めて、合計100km以上の区間が「エリザベス線」の名称へと統一されます。今年はエリザベス女王の即位70周年を祝う「プラチナ・ジュビリー」にあたり、96歳になる女王は5月18日(水)、開通間近のパディントン駅で行われた記念プレートの除幕式に出席しました。
5月24日(火)開業の段階では、「西方面」「東方面」および新規開業する「中央トンネル・南東部」の3つの区間で別々の列車による運行となります。パディントン駅〜アビーウッド駅間は暫定的に6:30〜23:00の営業で、日曜日は工事や調整が続くため運休となります。郊外列車は従来通り地上のパディントン駅およびリヴァプール・ストリート駅を使用するため、中央トンネル・南東部区間を利用する場合は地下駅に移動して乗り換える必要があります(路線図は下図を参照)。
今後、2022年秋以降に東西路線が中央トンネルと結合し、レディングとヒースローからアビー・ウッドまで、シェンフィールドからパディントンまでが乗り換えなしで移動できるようになります。さらに、2023年5月までに最終的なダイヤに移行し、中央トンネル区間ではピーク時に1時間あたり24本の列車が運行される予定です。